「多分さ、俺のほうが、君より先に死ぬと思うんだ」

 唐突な始まりだったからか、内容が内容だったからか、ルルは目を丸くして発言者たるアルバロを見返した。

 「そんなの…」

 そこまで呟いて、先の言葉を喉に詰まらせたようにルルは顔を俯ける。そんな彼女の前髪を手に絡めて、アルバロは薄く笑みを浮かべた。嗜虐心をそそる、そんな顔も嫌いじゃない。

 「お前が言いたいことはなんとなく想像できる。先は、わからない。でも、それでも、そういう終わり方が一番可能性が高いのも事実だ」

 文字通り一蓮托生の間柄。

 アルバロは、己が生きるためにルルに生きてもらわなければならない。ルルの危機になれば、ナイトの如く助けに行く嵌めになる。
 始めはなんて馬鹿馬鹿しい、と思っていた。
 予想外の行動に常に愉しませてくれたルルだったが、この刻印が一番予想外だった。

 愚かしさに、笑いが止まらなかった。


 「けどな――」

 今は、少しだけ違う思いがある。
 笑いを含んだ声で、アルバロはルルの耳に口を寄せた。





その腕に抱かれて死の床につけるなら

(お前の絶望に満ちた顔を最期に焼き付けて逝くのも面白そうだ)

........... title by 空青。