「俺は『残念』だな」

「何それ…!犬飼くんっていつものことだけど、言葉ヒドイよね」

「ばっか、お前、ただ一人の女子とかマジで期待煽るもんだろ普通。んで部活で一緒と聞いたらちょっとオイシイ期待もしちゃうわけだ。なのに部活始まってしばらくはずっーと強張った顔でさー。喋りかけても『はい』と『いいえ』くらいしかまともに話さなかった奴に、『残念』って思うのは普通じゃね?」

「…だって、みんな集団でくるんだもん。まともに話せるほうがおかしいよ…」
「…そりゃー、まー、仕方ない」
「たったひとりの女子、だから?」
「そーそー。みんなオトシゴロだしな、思うことはイロイロあるわけだ」
「ふーん…」
「んで?夜久はどうだったんだ?」

「私は、んー…『不器用に笑う人』だったかな」

「……マジで」
「うん」

「意味わかんねー、とか言っていいか?」
「え、言われない?」
「初めて言われました」
「うっそー…」
「つーか不器用に笑うってなんだ、俺フツーに笑ってるし」
「や、フツーじゃない、ってわけじゃないんだけど…笑うと眉間に皺寄るじゃない?犬飼くんて」
「……マジで。しかめっつら?笑ってねーじゃん、それ」
「笑ってないんじゃなくてさ、なんか『仕方ないなー』って感じの笑い方というか、何か、親しみやすいっていうか」
「要はあれか、俺は大人なのか」
「…全然要点じゃないよ、それ。むしろズレてるよ」








第一印象

100212