紙のように白い、という言葉が浮かんだ。

多分、今の哉太の顔色は、その言葉に、ぴったり

何時もなら鮮やかな感情を宿した瞳が、くるくると変わる表情が、その生気を感じさせない白さを隠してくれる。
けれども今はその瞳は閉じられ、白いシーツに沈んだ体は微かに浅い呼吸の為の上下運動を繰り返すだけで。

少し離れてしまえば、消えてしまう、気がして。

「そんなわけ、ないよね…?」

眠る哉太を起こさない程度に確かめるように呟くけれど、なんだか、逆に余計にその言葉に真実味を与えてしまう。
ああ、馬鹿だなあ、私
底無し沼にはまった気分。そう考えて、反射的に、助けを求めるみたいに、手を伸ばす。シーツに投げ出された、白い、手を、掴む。

あぁ、と洩れた言葉と同時に詰めた息を吐き出した。








握り締めて君の温かさと大切さを知る


(このあたたかい手が消えることなどありませんようにと切に願う。)


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